ステンレス鋼の概要 耐食性を向上させる目的で、クロム又はクロムとニッケルを含有させた合金鋼で、クロムの含有量が約10.5%以上の鋼をステンレス鋼といい、主としてその組織によってマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、オーステナイト?フェライト系及び析出硬化系の五つに分類されます。 ステンレス鋼は耐食性の高い鋼(はがね)であることは衆知の事実ですが、一方でその加工性、特に切削性の悪さには手こずらされていると思います。その原因のひとつに熱伝導率(熱の伝わり度合)が低いことが挙げられます。 図―1に各種金属とステンレス鋼との熱伝導率を示します。 |
图-1各种金属的热传导率 |
| | ステンレス鋼は鉄(Fe)と比較しても熱伝導率は1/3以下であり、そのため切削時のチップとの摩擦熱がステンレス鋼側には逃げにくいのです。また、材質が粘いため切粉が長くつながり、その結果刃先への冷却不足が生じチップ摩耗が加速されます。従って、切粉を早く破砕し刃先の冷却効果を高める必要があります。即ち快削ステンレスの出番です。 |
ステンレス鋼の切粉の違い |
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各ステンレス鋼の位置づけ Rating of Each Stainless steels |
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シモムラではこの難切削性を解消し生産性の向上を図れる種々の快削性ステンレス鋼をご用意しております。また、鉛(Pb)含有鋼の鉛含有量は全てRoHS規制値以下(≦0.35wt%)です。 |
下村鋼種名 | 類似鋼種 | 特徴 | 化学成分
(wt%) |
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JIS | AISI | 大同特殊鋼 |
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SF30Z | SUS303 | 303 | DSN03FA | SUS303+Pb の潤滑効果で高速切削性に優れる | 化学成分規格はここをクリックして下さい | SF30V | SUS303 | 303 | DSN03FA | SUS303の被削性、耐食性、非磁性(μ≦1.01)を兼ね備える | SF27E | SUS303Cu | - | SUS303CU | SUS303+Cu、Mn 被削性向上 | SUS303 | SUS303 | 303 | SUS303 | ベース鋼種 | SUS304 | SUS304 | 304 | SUS304 | ベース鋼種 |
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フェライト系ステンレス鋼 |
下村鋼種名 | 類似鋼種 | 特徴 | | JIS | AISI | 大同特殊鋼 | SF20T | - | - | DSR6F | 快削鋼(SUM24L)とほぼ同条件の被削性、SUS303並みの耐食性(S、Pb、Te添加) | 化学成分規格はここをクリックして下さい | SUS430F | SUS430F | 430F | SUS430F | ベース鋼種 |
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マルテンサイト系ステンレス鋼 |
下村鋼種名 | 類似鋼種 | 特徴 | 化学成分 (wt%) |
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JIS | AISI | 大同特殊钢 |
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UT13 | SUS416 | 416 | DSR16FB | マルテンサイト系では最高級の被削性、快削元素として4元素添加(S、Pb、Se、Te添加) |
| 化学成分規格はここをクリックして下さい | SF13 | DSR16FA | SUS416の被削性向上(Pb、Se添加)、焼入れ硬さはHRC40以上 |
| SF13-E | DSR16FC | SUS416の被削性向上(Pb、Te添加)、焼入れ硬さはHRC40以上 | SUS416F2 | DSR16F | SUS416の被削性向上(S系では最高級) | SF53 | SUS420F2 | - | DSR20FA | SUS420Jをベースに快削元素を3元素添加し(S、Pb、Se)SUS416同等の被削性 | DSR20F | SUS420Jをベースに耐食性を確保しながら被削性を向上(快削元素=Pb) | SF53-E | DSR20FD | SUS420Jをベースに快削元素を3元素添加し(S、Pb、Te)SUS416同等の被削性 | SUS420J2 | SUS420J2 | 420 | SUS420J2 | ベース鋼種 | DSR7 | - | - | DSR7 | 焼き入れ硬さHRC58以上出せる13Cr系ステンレス鋼 |
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